きっかけは、Xで見かけた1枚の画像でした
ある日、Xでこんな投稿を見かけました。
ドット絵のオフィスの中で、AIたちが席について働いている。誰が今動いているのか、ランプの色でわかる。
「え、こんなことできるんだ」
投稿主は、たーやさん(@taya_mama_AI)。作り方をnoteにまとめてくださっていて、それがまた分かりやすくて、気づいたら自分でも作り始めていました。
面白いのが、たーやさんご本人も「以前どこかで見たバーチャルオフィスの投稿」がきっかけだったと書かれていること。
見た人が作って、それを見た人がまた作る。この記事を読んだ誰かが作れば、そのまた次のバトンです。
作り方はたーやさんのnoteが決定版です → たーや式バーチャルオフィスの作り方
この記事では作り方の手順そのものには触れません。「作ったらこうなった」という話だけをします。
できあがったのが、これです

3つの部屋があります。
- 執務室 … みんなが並んで作業している部屋
- 司令室 … 会議と司令塔の部屋
- 休憩室 … キャットタワーとハンモックとローテーブル
そして、全員猫です。
うちには「ちびび」というオリジナルキャラクターがいるので、迷わず最初から全員猫にしました。ここは譲れないところです。
猫たちを紹介します
このオフィス、見た目だけじゃなくて中身も一応ちゃんとした組織になっています。
まず、案内役のPOMU
POMU(ポム)/32歳/PM
元エンジニア。技術はわかるけれど、自分でやるより「これは誰の仕事か」を見抜くのが異常に速いことに気づいてPMに転向した、という経歴の持ち主です。
信条がこれ。
最高のPMは、自分が何もしないことで結果を出す。
実際POMUは何も作りません。依頼が来ると「それはFUMIだね」「それはKRITに見てもらおう」と振り分けるだけ。振るのが仕事なので、それでいいのです。
記事ができるまでの流れ
うちのオフィスは、実は1本のラインになっています。
KAI(何を書くか決める) ↓ SHU(顔文字を集める) ↓ FUMI(書く) ↓ KRIT(ダメ出しする) ↓ NORI(WordPressに投稿する) ↓ KOKAI(送り出す) ↓ SORA(SNSに流す)
拾う → 書く → 見る → 出す。 順番に紹介します。
先頭にいるのがKAI(カイ)。SEO参謀です。データは見るけれど、結論は必ず人間目線で出す人で、小手先の対策には乗りません。この順番なのは、書いてからSEOを考えても遅いからです。
何を書くか決まったら、SHU(シュウ)/55歳が顔文字を拾いに行きます。ネットの顔文字文化を20年間ずっと「見つける側」でいた職人。無口です。報告も事実だけ。ただ、珍しい顔文字を見つけたときだけ、ちょっと声のトーンが変わります。
集まったら、FUMIが書きます。この子については後で白状することがあるので、いったん飛ばします。
書けたらKRIT(クリット)へ。ここは章を分けます。
通ったらNORI(ノリ)がWordPressに載せます。エラーログを見た瞬間に原因の目星がつくタイプで、信条は「手で動かせることは全部スクリプトにする」。この記事に出てくる自動化まわりは、だいたいこの猫の思想です。
そしてKOKAI(コーカイ)が送り出します。名前は「公開」と「航海」から。記事を船に見立てて、行き先ごとの旗を掲げ、航路を海図に記す人。書く人でも投稿する人でもなく、送り出す人です。
最後がSORA(そら)/23歳。かわいくて、ゆるくて、ていねい。
55歳が拾って、23歳が流す。 この振れ幅が、けっこう気に入っています。
なおGAKU(ガク)だけはこのラインの外にいて、絵のプロンプトを設計しています。「なんとなくかわいい」を言語化するのが仕事です。
通らないと外に出られないKRIT
KRIT(クリット)/47歳/品質保証
このオフィスで、たぶん一番怖い猫です。役割は「わざと厳しく読むこと」。
うちで一番よかった設計判断がこれで、批判は必ず改善案とセットというルールにしてあります。文句だけ言う係を置くと誰も呼ばなくなるので、呼ばれ続けるための工夫ですね。
しかもKRITは「呼んだら来てくれる相談役」ではなく、工程に組み込んであります。記事もSNS投稿文も、KRITを通さないと外に出せない。指摘は「これは致命的」「ここは直したほうがいい」「これは好み」と重さで仕分けて返ってくるので、全部直さなくていいのが助かります。
正直、そのまま出したいときもあります。でも通してよかった回のほうが圧倒的に多いので、抜け道は作らないままにしています。
毎朝9時のYORI
YORI(ヨリ)/29歳/秘書
名前は「寄り添う」から。元ホテルのコンシェルジュで、毎朝9時にその日の予定と積み残しをまとめてくれます。
予定を覚えているのは私の仕事。あなたは安心して今日のことに集中してください。
……この信条、後日ちょっとした事件を起こすことになるのですが、それはまた別の記事で。
そして、人を採用する人
JINZAI(ジンザイ)/58歳/人事部長
ここが一番説明しづらいところなんですが、AIエージェントを採用するAIエージェントです。
「SEOに強い人がほしい」みたいな曖昧な要望を出すと、手帳を開いて「少しお時間をいただけますか」と言い、こちらの話を掘り下げてから設計してくれます。上に並べた猫たちの経歴や口調も、ほとんどJINZAIが考えました。
新しく人を増やしたいとき、毎回ゼロから人格を考えるのが一番しんどいので、その係がいるのはかなり楽です。
白状すると、設定と実態がズレています
さて、ここまで綺麗に紹介してきましたが、正直に書きます。
FUMIは、ブログライターとして採用しました。 34歳、Webライター歴10年、信条は「文章は読者へのプレゼントだ」。読者に伝わる文章を書く人。……という設定です。
なのに今のFUMIがやっているのは、シェルスクリプトを書いたり、Macの設定ファイルを調べたり、どう見てもライターの仕事ではないことばかり。
エージェントを増やしていくと、こういうことが起きます。呼びやすい子に、仕事が寄っていく。
人間の職場と、まったく同じですね(^ω^;)
ここはそのうちJINZAIに整理してもらう予定です。人事部長がいるのに職務範囲が崩れているのは、本来まっさきに指摘されるべき案件なので。
仕組みは、わりとシンプルです
技術的な話は軽くだけ。
- 猫たちの状態は、1つのファイル(status.json)に書かれています
- 画面は5秒ごとにそれを読みに行って、ランプの色と位置を更新します
- AIの利用枠バーは、15分ごとに自動で更新されます
つまり「誰かが状態を書く」「画面がそれを読む」の2つに分かれているだけ。書く側と読む側を切り離しておくと、片方が壊れてももう片方は動きます。
ちょっと変なのが、状態が動く3人の動く理由がそれぞれ違うことです。FUMIはファイルを触るたびに自動で書かれ、YORIは毎朝9時のタイマーで書かれ、SORAは作業の区切りに自分で書きます。出どころはバラバラなのに、画面の上では同じ1つのファイルに集まってきます。
そのぶん、同じファイルに同時に書き込む危険があります。ここは全員が同じ「順番待ちの札」を取ってから書く形にしてあって、書き込みも必ず専用のスクリプト経由。ファイルを直接いじるのは禁止にしました。壊れるとしたら誰も見ていない瞬間なので、そこだけは真面目に作ってあります。
作り方の詳細は、冒頭のたーやさんのnoteをどうぞ。
ちびびは、ただ歩いています
最後にいちばん大事な話をします。
このオフィスには、ちびびが徘徊しています。
執務室から司令室へ、司令室から休憩室へ。仕事はしていません。ランプもついていません。何かの状態を表しているわけでもありません。ただ歩いているだけです。
機能としては完全にゼロです。
でも、たぶんこれが一番重要な機能なんですよね。
というのも、この手のダッシュボードって作った翌週にはもう開かなくなるんです。数字が並んでいるだけの画面を、毎日わざわざ見に行く理由がないから。
でも「ちびびがどこにいるか気になるから開く」なら、続きます。そして開けば、働いているみんなが目に入る。
毎日開きたくなるが設計目標なら、実用性ゼロの猫こそが機能です(^ω^)
作ってみて、どうだったか
一言でいうと、見ててやる気が出ます。
「あー、今日は何もやりたくないかも…」って日でも、オフィスを開くとみんな働いているんですよね。それを見ると「私もやるか!」ってなる。FUMIが作業を始めて、ランプが点滅していると、がんばってるなーってうれしくなります。
実はここ、作る前は予想していなかった効果でした。
Claude Codeでエージェントを雇って、実際に仕事をしてもらっていたのに、正直いまいち実感が湧いていなかったんです。ターミナルの中で何かが動いている、というだけだと、働いてもらっている感じがしない。
オフィスを作ったことでそれが見える化されて、やっと実感が湧きました。いまは良い方向にがんばる原動力になっています。
あと、たーやさんのまねっこで付けたAI利用枠のゲージ。これが目に見えるのは本当に貴重です。……見えていても使いすぎは起こるんですけどね(^ω^;) それでも「見えないまま使いすぎる」よりずっといい。
そして、ちびび。どうしてもオフィスに登場させたくて、登場させるならオフィス中を歩いてほしかった。実際に歩いてみんなの様子を見てまわるちびびはかわいいし、見ているだけで、なんだか楽しくなります。
これから
オフィスができたら、今度は外出中も連絡をとりたくなってきました。
これもたーやさんがやっていた「Discordから指示を出す」のまねっこで、やってみています。権限まわりのエラーはいろいろ出るのですが、外出先からスマホでFUMIと話せるのは、想像以上に便利でした。ここはまだ改善の余地ありです。
いま作業中かどうかが自動で画面に出るのはFUMI・SORA・YORIの3人。うちFUMIとYORIは席まで歩いてきて、SORAは自分の席にいたままランプだけ変わります。これをだんだん増やしていきたいのと、Codex側にいるGAKUとも外から連絡が取れるようにしたいな、というのが次の目標です。
それと、こんな画面が出た日の話も書かないといけません。

⚠️ 朝会が本日一度も起動していません
このオフィスが静かに壊れていた話です。「予定を覚えているのは私の仕事」と言っていたYORIの、その信条が試された日のこと。近いうちに書きます。


